庭の石に座って缶コーヒーを飲む時間

黒松のある庭で石に座り缶コーヒーを飲む静かな朝の風景 人生後半の整え
黒松のある庭で石に座り缶コーヒーを飲む静かな朝の風景

今日はハローワークの最後の認定日だった。

朝から風が強かったが、天気はよく、春の光を感じる一日だった。
いつものように車ではなく、歩いて駅まで向かった。二十分ほどの道のりだ。

途中には小さな公園がいくつかある。
特に何があるわけでもないが、木を見たり、風を感じながら歩くと、気持ちが落ち着く。

電車に乗り、ハローワークへ行き、用事を済ませ、また電車で戻り、駅から家まで歩いた。
こうして書くと大したことではないが、歩いたり電車に乗ったりすると、私の気持ちは整う。

家に帰ると、庭の木の蕾が少し膨らんでいるのが見えた。
椿、もみじ、楓、さくらんぼ、ボケ、さつき、藤。
いろいろな木があるが、やはり庭の中心は二本の黒松だ。

大きい方は四、五メートルほどあり、脚立に乗ってやっと手入れができるくらいの高さ。
小さい方は三メートルほどだろうか。

昔、義父が庭師に頼んでいたが、年間二十万円ほどかかると聞いて驚いた。
それなら自分でやろうと思い、本を一冊買って松の手入れを覚えた。
それから十数年、庭師は入らず、私がみどり摘みやもみあげをしている。

松の下は今、落ち葉や松葉が重なって、森の地面のようになっている。
草刈りもするが、体力的に大変なので、機械で軽く刈る程度にしている。

庭の玄関のところには、昔庭師が組んでくれた石がある。
石をうまく組み合わせて花壇のようになっている場所だ。

庭仕事をする前、私はそこに座る。

近くの自動販売機で缶コーヒーを買ってきて、石に腰掛けて飲む。
それが、私の庭仕事の前の小さな習慣だ。

特に何を考えるわけでもない。
松を見たり、風を感じたりして、ただ静かにコーヒーを飲む。

今日は灯油屋さんやAmazonの配達が来る日なので、
外でそんなことをしていると少し恥ずかしい気がして、部屋にいる。

石の花壇も、今は花が植えてあるわけではなく、ただの土だ。
時々、近所の猫のトイレになっていることもある。

それでも、その場所に座ってコーヒーを飲む時間は、
なぜか気持ちが整う。

トレーラーの仕事をしていた頃、走り出すと気持ちが落ち着いた。
仕事が終わって帰ってきた時の気持ちは、達成感というよりも「ただ静か」という感じだった。

庭でコーヒーを飲んでいる時間も、それに少し似ている。

春の光、強い風、木の蕾。
庭の中にも、季節がゆっくり動いている。

四月からは新しい仕事が始まる。
また生活のリズムも変わるだろう。

その前の今は、こうして庭の石に座ってコーヒーを飲むような、
静かな時間なのかもしれない。

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