今日は、家の名義変更の書類を提出するため、街中の法務局へ向かった。
昨日のうちに書類は整えておいたので、今日は提出するだけである。
まずは妻と地元の郵便局へ行き、返信用封筒に貼る切手と収入印紙を購入した。
この郵便局には、かつて海外販売をしていた頃、ほぼ毎日のように通っていた。
義父も町内会の関係で局長と親しく、窓口に立てば知っている顔ばかり——そんな場所だった。
けれど今日、窓口に立ってみると、知っている職員は一人もいなかった。
少しだけ寂しさを覚えながら、時の流れとはこういうものなのだと静かに受け止めた。
人も、暮らしも、少しずつ入れ替わっていく。
法務局は街中のビルの中にある。
駐車場に車を停め、妻とエレベーターで上階へ。
封筒に切手を貼り、収入印紙を所定の場所に貼る。
ひとつひとつの動作が、長く続いた出来事の最後の確認のように思えた。
窓口では簡単な確認だけがあり、書類は無事に受理された。
「やっと終わったわね」
妻はほっとした表情でそう言い、私に感謝の言葉を伝えてくれた。
義父のことでは、本当に多くの出来事があった。
病気、入院、手術、介護施設への入所、施設での出来事、葬儀、墓じまい、部屋の片付け——
そして今日の不動産登記。
これが、最後の手続きだった。
義母は早くに亡くなり、妻は一人娘。
長い年月、父と娘はこの家でぶつかり合いながらも暮らしてきた。
「あなたがここに住むと決めてくれたのは、この家のためでもあったのよ」
以前、妻がそう話してくれたことを思い出す。
長い道のりが、ようやくここで一区切りを迎えた。
妻は手続きがあまり得意ではない。
だから私は法務省のホームページを読みながら、書類を一つずつ整えていった。
その姿を見ていたからだろう。
今日の妻は、本当に嬉しそうだった。
帰り道、ささやかなお祝いをすることにした。
大型ショッピングモールのカレーショップで、野菜たっぷりのカレーを食べ、食後にアイスクリームもいただいた。
特別なことではない。
けれど、こういう時間がいい。
これまで、どれほどのお金が必要になるのか、どんな手続きが待っているのか——
何もかもが手探りで、夫婦二人、悩みながら歩いてきた。
その不安が、今日、すべて消えた。
妻の喜ぶ顔を見て、私も嬉しかった。
これからは、病気や怪我に気をつけながら、二人で穏やかに暮らしていきたいと思う。
長かった出来事が終わると、心の中に静かな余白が生まれる。
今日は、そんな一日だった。

