書類が、ようやく揃った。
職務経歴書は、特に注意書きがなかったのでパソコンで印刷した。
履歴書は、指示通りに無印の黒いペンで手書き。
小論文は、2Bのハイユニを使い、小さな無印の鉛筆削りで芯の先を整えながら書いた。
履歴書。
職務経歴書。
そして、小論文。
小論文だけは、最初から最後まで、自分の頭で考えて書いた。
珍しいことに、何度も何度も推敲した。
その過程で、普段書いている文章が、どれほど勢い任せだったかもよくわかった。
読んでくださっている方に、あらためて「ありがとうございます」と思うと同時に、
拙い文章を読ませてしまっていたことを、少し申し訳なく感じた。
還暦を目前にして、人生を振り返る、いい機会にもなった。
周囲の多くが予備校に通い、大学進学を目指していた頃、
私は東京トヨタというディーラーに就職した。
保険や年金の意味もよくわからないまま、
「どうしてこんなに手取りが少ないんだろう」と思いながら暮らしていた。
今思えば、随分と若く、何も知らなかった。
書き出してみると、それなりの人生を歩んできたのだと思う。
「東京トヨタにそのまま勤めていればね」
カミサンに、そう言われたこともある。
けれど私は、その時その時の環境の中で、
あとで後悔しないように、と自分なりに選択を重ねてきた。
今、行政の仕事を目指そうとしているのも、その延長線上にある。
年金に大きな期待ができない現実の中で、
生活していくには、働き続けるしかない。
では、どうすればそれができるのか。
それを、ようやく真剣に考えた。
この資格を持ち、経験を積めば、
年齢に縛られず、ある程度の期間、働き続けられるかもしれない。
仮に今の場所を離れることになっても、
人が暮らす限り、同じ仕事はどこかにある。
運転の仕事も嫌いではない。
けれど、雪道、衰えていく身体、事故のリスク。
どれだけ気をつけても、避けられないものがある。
続けていくには、やはりリスクが高すぎる。
だから、最終手段にしたいと思った。
そんなことを考え続けていた日々だったが、
書類が完成し、ひと区切りがついた。
あとは、合格の証明を持ってハローワークへ行き、
紹介状をもらい、その足で応募する。
介護のほうでは、明日、実家の見守りカメラを交換しに行く予定だ。
特養にいる母にも会ってこようと思う。
これができるのも、
支えてくれている家族がいるからこそだ。
最後まで、後悔しないように。
そのために、今日も一つ、整えた。

